貧乏大家族の私が御曹司と偽装結婚⁈
私は溜め息を吐きながら会場の前へと進んでいた。
「あ、与織ちゃん。うちの社長に聞いてみる? ちょうどそこにいるよ?」
みー君はそう言ったかと思うと、周りの目など気にせず手を振り始めた。
「やくもさーんっ!!」
その声に、私も、周りの見ず知らずの人たちも、ギョッとしたようにみー君を見ているが、本人は全く動じていない。
けど、人垣の向こうにいた、やくもさんらしき人は、みー君の声に思いっきり顔を顰めていた。
「実樹。恥ずかしい!」
近づいた途端に、そう言ったのは澪さんと張るくらい背が高くスラっとした迫力のある美女だ。背中まで届く艶やかな黒髪を一つに纏めていて、ブラックのパンツスーツを着るその人は、なんと言うか、とてつもなく格好いい。
「ごめんね? やくもさん!」
みー君は、相手が社長だと言うのに、悪びれることなくフワフワとした様子で謝った。
「まず紹介するね? 僕の妹!」
「はっ、初めまして。朝木与織子です」
急に振られ、私は慌ててお辞儀をする。
「初めまして。小泉やくも、です」
と微笑まれ、思わず「怪談?」と口に出す。
やくもさんは「ははっ。よく知ってるね? 結婚したらこんな名前になってしまったんだよ?」と、低めの凛とした声で答えた。
「あ、与織ちゃん。うちの社長に聞いてみる? ちょうどそこにいるよ?」
みー君はそう言ったかと思うと、周りの目など気にせず手を振り始めた。
「やくもさーんっ!!」
その声に、私も、周りの見ず知らずの人たちも、ギョッとしたようにみー君を見ているが、本人は全く動じていない。
けど、人垣の向こうにいた、やくもさんらしき人は、みー君の声に思いっきり顔を顰めていた。
「実樹。恥ずかしい!」
近づいた途端に、そう言ったのは澪さんと張るくらい背が高くスラっとした迫力のある美女だ。背中まで届く艶やかな黒髪を一つに纏めていて、ブラックのパンツスーツを着るその人は、なんと言うか、とてつもなく格好いい。
「ごめんね? やくもさん!」
みー君は、相手が社長だと言うのに、悪びれることなくフワフワとした様子で謝った。
「まず紹介するね? 僕の妹!」
「はっ、初めまして。朝木与織子です」
急に振られ、私は慌ててお辞儀をする。
「初めまして。小泉やくも、です」
と微笑まれ、思わず「怪談?」と口に出す。
やくもさんは「ははっ。よく知ってるね? 結婚したらこんな名前になってしまったんだよ?」と、低めの凛とした声で答えた。