貧乏大家族の私が御曹司と偽装結婚⁈
そんな挨拶はそこそこに、みー君はやくもさんに顔を近づけ、何やら耳打ちしている。それを聞きながら、やくもさんは私に視線を送っていた。
「うちの女性社員達をビル内でナンパしてたアイツでしょ? あのボンボンのニヤケっつら、そう言えば今日は見てないなぁ」
思い出すように言うやくもさんに、私は肩身の狭い思いをしながら「そうですか……」と答えた。
「大変お待たせいたしました」
騒めきが一瞬静まると、正面に作られたステージの端に、テレビでも見たことのある女性アナウンサーが現れた。
「始まるね」
みー君は顔を上げてそう呟く。
「ただいまより、株式会社旭河、創立100周年記念祝賀会を開催いたします」
マイクを通したその声を聞きながら私は頷いた。
そして、参加者が注目する中現れたのは、旭河、現社長の姿だった。
「皆様、本日は私どものためにお集まりいただき、誠にありがとうございます」
そんな風に始まった、創ちゃんのお父様の挨拶。まだ、間近でお会いする機会はなかったけど、遠くから見ても雰囲気がよく似ている。きっと創ちゃんが年を重ねたら、あんな感じの素敵なおじ様になるんだろうなぁと思う。
ぼんやりとそんな想像をしながら、私はまたそのスピーチに意識を戻した。
「うちの女性社員達をビル内でナンパしてたアイツでしょ? あのボンボンのニヤケっつら、そう言えば今日は見てないなぁ」
思い出すように言うやくもさんに、私は肩身の狭い思いをしながら「そうですか……」と答えた。
「大変お待たせいたしました」
騒めきが一瞬静まると、正面に作られたステージの端に、テレビでも見たことのある女性アナウンサーが現れた。
「始まるね」
みー君は顔を上げてそう呟く。
「ただいまより、株式会社旭河、創立100周年記念祝賀会を開催いたします」
マイクを通したその声を聞きながら私は頷いた。
そして、参加者が注目する中現れたのは、旭河、現社長の姿だった。
「皆様、本日は私どものためにお集まりいただき、誠にありがとうございます」
そんな風に始まった、創ちゃんのお父様の挨拶。まだ、間近でお会いする機会はなかったけど、遠くから見ても雰囲気がよく似ている。きっと創ちゃんが年を重ねたら、あんな感じの素敵なおじ様になるんだろうなぁと思う。
ぼんやりとそんな想像をしながら、私はまたそのスピーチに意識を戻した。