貧乏大家族の私が御曹司と偽装結婚⁈
「──旭河は、今から100年前。私の曽祖父、川村 一と、その親友だった朝木 創兵衛が、起こした事業が始まりです」
私が全く知らなかったこと。前にいっちゃんに聞かされたとき、『与織子はもう少し会社に興味持ってくれ』と呆れられた。そんなことを言われても、雲の上の存在だった本社の社歴になんて、興味が湧くわけはない。
それに『朝木』の名は、この最初の部分にしか出てこないのだから、まさかうちが旭河に関係していたなんて、知るよしも無かった。
そして社長は、今まで明かされていなかった、朝木が旭河から消えた理由を語る。
事業が大きくなるにつれ、その進むべき道を違えてしまったこと。祖父の代にはほとんど交流がなくなってしまったこと。
「……けれど、祖父は言いました。曽祖父はずっと後悔していた。もう一度、朝木とやり直したかったと、今際の際で言っていたと」
広い会場内は、水を打ったように静まり返っていた。私も、同じように息をのんで耳を傾けた。
「そして私は誓いました。この、旭河を朝木家に恥ずかしくない大企業にしよう。そして、いつか手を取り合おうと」
そこで、一旦社長は言葉を止め、深呼吸するとまた言葉を続けた。
私が全く知らなかったこと。前にいっちゃんに聞かされたとき、『与織子はもう少し会社に興味持ってくれ』と呆れられた。そんなことを言われても、雲の上の存在だった本社の社歴になんて、興味が湧くわけはない。
それに『朝木』の名は、この最初の部分にしか出てこないのだから、まさかうちが旭河に関係していたなんて、知るよしも無かった。
そして社長は、今まで明かされていなかった、朝木が旭河から消えた理由を語る。
事業が大きくなるにつれ、その進むべき道を違えてしまったこと。祖父の代にはほとんど交流がなくなってしまったこと。
「……けれど、祖父は言いました。曽祖父はずっと後悔していた。もう一度、朝木とやり直したかったと、今際の際で言っていたと」
広い会場内は、水を打ったように静まり返っていた。私も、同じように息をのんで耳を傾けた。
「そして私は誓いました。この、旭河を朝木家に恥ずかしくない大企業にしよう。そして、いつか手を取り合おうと」
そこで、一旦社長は言葉を止め、深呼吸するとまた言葉を続けた。