貧乏大家族の私が御曹司と偽装結婚⁈
そして……気がつけばもう月末。今日一日を乗り切れば連休に入ると言う木曜日だった。
営業社員の人の中には、来週月曜日と金曜日の休みを取って、10連休なんて人もいて、なんとなく浮き足だっている雰囲気はある。けれど、残念ながら事務のほうはと言うと、早めに来た締め日にどの課の担当も悲壮な顔をして仕事に励んでいた。もちろん1課でも。

「主任、この書類入力終わりました。確認お願いします」

そう言って、私は発注書の束を主任の机の脇に置いた。少しずつ任せて貰う仕事も増え、亀のスピードだろうけどなんとか役に立ってる……と思いたい。

「あぁ。後で見る」

パソコンの画面に向かったまま主任はそう言って手を動かしている。

「できた!川村君、悪いんだけど、後よろしくね」

清田さんはそう言うと、せっせと机に散らばる文房具をしまっていた。本当なら清田さんは帰る時間のはずが、さすがに今日は定時で出れなくて、いつもより遅い。これから電車も混み合うからできるだけ早く出たいみたいだ。

「わかった。悪いな、遅くまで。月曜日は休みだろ?ゆっくりしてろ」
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