貧乏大家族の私が御曹司と偽装結婚⁈
「……悪い。全部やり直しだ」
見たことないくらい落胆した顔で主任はそう言う。そして私は一瞬、何を言われたのか理解できなかった。
「えっ?全部ってまさか……」
「そうだ。今日朝木が入れてくれた分全部。説明を漏らしてた俺の責任だ。入力済みのものは引き受ける。今から入れる分を正しく入れてもらえるか?」
そう言う主任の顔には何となく疲れが見える気がする。それもそうだ。私が入力したものの見直しだけでも時間が掛かるのに、やり直しだなんて。
「はい。……あの主任。私、全部自分で入れ直します」
「助かるが……もう定時になる」
「入れ直しって言っても一からじゃないですよね。それに、私もちゃんと仕事をやり遂げたいんです」
主任を真っ直ぐ見て私はそう言う。いくら説明を受けてなかったとしても、自分が関わった仕事を途中で投げ出したくない。
そんな私を、主任は少し意外そうに目を開いて見てから、少し諦めたように息を吐く。
「じゃあ任せる。課長に残業を申請しておく。それから……」
そう続けて主任は訂正箇所と訂正方法を教えてくれた。いつもは清田さんが仕事を教えてくれるから、主任とこんな至近距離で仕事を教えてもらうことなんてなくて、すぐそばで聞こえる主任の淡々とした低い声がなんだかこそばゆい。
見たことないくらい落胆した顔で主任はそう言う。そして私は一瞬、何を言われたのか理解できなかった。
「えっ?全部ってまさか……」
「そうだ。今日朝木が入れてくれた分全部。説明を漏らしてた俺の責任だ。入力済みのものは引き受ける。今から入れる分を正しく入れてもらえるか?」
そう言う主任の顔には何となく疲れが見える気がする。それもそうだ。私が入力したものの見直しだけでも時間が掛かるのに、やり直しだなんて。
「はい。……あの主任。私、全部自分で入れ直します」
「助かるが……もう定時になる」
「入れ直しって言っても一からじゃないですよね。それに、私もちゃんと仕事をやり遂げたいんです」
主任を真っ直ぐ見て私はそう言う。いくら説明を受けてなかったとしても、自分が関わった仕事を途中で投げ出したくない。
そんな私を、主任は少し意外そうに目を開いて見てから、少し諦めたように息を吐く。
「じゃあ任せる。課長に残業を申請しておく。それから……」
そう続けて主任は訂正箇所と訂正方法を教えてくれた。いつもは清田さんが仕事を教えてくれるから、主任とこんな至近距離で仕事を教えてもらうことなんてなくて、すぐそばで聞こえる主任の淡々とした低い声がなんだかこそばゆい。