宿命の星
魔物討伐を終え、城へ戻る途中、急に天気が悪くなり、近くの安全な平地でキャンプをはった。
城に戻る前に話があると王が参謀大臣と魔術騎士団長を呼んだ。

王のテントからロワイフ大臣と魔術騎士団長が出てきて、まだ少し雨が降っていたから、近くの木の下に入る。

「まだ王には元気で頑張ってもらいたい。」
「しかし大臣、王のご病気の原因がわからない今、皇子と交代する準備も進めなくてはいけないのでは?」
「しかしなぁ…」

突然二人の木の上に雷が落ちる。
ガシャーン、メリメリ。
風圧で二人が飛ばされる。

たまたま見廻り中の団長の息子が父に駆け寄る。
「父さん、大臣、大丈夫ですか?」
大臣は頭を軽く打っただけで起き上がれたが団長は暫く気を失っていて、
「父さんっ!」
洸(コウ)が父を抱き抱えたその時、団長の瞳がカッと開き、

"星流れる朔の日に宿命現る"

洸の父は一瞬意識を失ったが、すぐに覚醒した。自分を抱く息子に
「洸、すまないテントまで肩を貸してくれるか?」
見廻りの仲間にすぐ戻るからと伝えて団長をテントまで連れて行き休ませた。

その日の夜、魔術学園から仲の良い、櫂(カイ)、高耶(タカヤ)、啓太(ケイタ)の四人で南の方角の警護を兼ねて外で座って話をしていた。
啓太がボソッと
「今日、団長が言った言葉はなんだったんだろ。」
「なんかの予言っぽいな。雷の衝撃で神がかってたし。」
高耶もウキウキしながら言う。
昼の天気が嘘のように夜は満天の星空だった。空に流れ星がひとつ流れる。
「予言かぁ。」
洸がつぶやく。
「そういえば、流れ星って願いが叶う伝説もあるけど、人が亡くなるって言い伝えもあるよな。」
「高耶は物知りだな、願い事かぁ、今は特にないけど…父さん?」
洸が突然立ち上がった。
「どうした洸?」
「今、父さんの声が聞こえたような気がして、ちょっと様子見てくるよ。」
「オレも行くよ。何かあった時二人の方が対処できるし。」櫂も立ち上がる。
洸と櫂は団長のテントにむかった。

テントの付近はシーンと静まりかえっていて、違う意味で不気味だった。
洸がテントの入り口から中を覗く。
「親父?」
「親父!」
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