青い星を君に捧げる【弐】
そういえば、湊は無事でいてくれてるだろうか。匡に丸投げしちゃったけど、彼のことだから大丈夫か。


「いずれ自力でツキに辿りついてみせる。……その時にお前がいることを望んでる、俺は」


慎の力強い声が耳に届いた。はっ、と息を飲んだ。


「それは、叶うといいなって私も思うよ」


噂の月桂樹って人を見てみたいし、とはにかみ笑いながら言った。


あなた達の憧れてるって人が、こんなにも望んでくれている人物が私であってちょっと恥ずかしい。


慎の耳元で揺れるピアスが目に入る。"彼"の意志を私が継いで、私から慎へと繋がって、いずれ慎から誰かへと受け継がれればいいな。


そんな未来を私の目で見れるといいな。


「……これはリリィの本当の名前を知った奴らに共通して言ってるんだが」


部外者が口を挟んで悪いと前置きを置く。この話の切り出し方は過去数回聞いているので、これから話す内容も予想がついた。


「こいつの事情も、名前も口外しないでくれ。俺たちのためにもお前たちのためにも」


青龍の皆は納得のいかない顔をしていたけれど、最終的には受け入れてくれた。これまで通り、だけど今までとは違う"ハル"と呼んでくれるらしい。
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