青い星を君に捧げる【弐】
あらかた話尽くした私たちは明日の帰国へ向けて少し眠ろうとそれぞれの部屋へと腰を上げた。
「匡はここに泊まってく?」
「いいや。本郷の人と合流する」
そう、気をつけて帰ってねと告げると匡も立ち上がる。横にあった重さを失ったソファが軋む。
無事に帰れるのか。そんなことを思いながら私は眠りについた。
𓂃◌𓈒𓐍
《side.阿久津匡》
ハルと別れ、部屋を出ると廊下の壁に体を預け立っている男の姿があった。
白虎総長、黒鉄慎。
ツキに分け与えられたピアスをつけ、前会った時は結んでいた黒髪は今は下ろされている。
これは面白いことが起きそうだ。そんな予感がして、変装用の黒縁メガネをくいっと上げた。
「話がある」
俺たちの総長様が託した意志を継ぐ者。けれど、再会するとこいつの目の下にはうっすらと隈があり、心が壊れ始める前みたいな、そんな印象を抱いた。
何があってここまでに至ったのか知る由もない。おまけに一応東西は仲が悪いから余計どうでもよかった。
ちゃんとリリィを守って、幸せを感じさせてやれるならそれで。俺たちが手出しすることは無い。
「来いよ。タクシー待つ間くらいなら聞いてやる」
「匡はここに泊まってく?」
「いいや。本郷の人と合流する」
そう、気をつけて帰ってねと告げると匡も立ち上がる。横にあった重さを失ったソファが軋む。
無事に帰れるのか。そんなことを思いながら私は眠りについた。
𓂃◌𓈒𓐍
《side.阿久津匡》
ハルと別れ、部屋を出ると廊下の壁に体を預け立っている男の姿があった。
白虎総長、黒鉄慎。
ツキに分け与えられたピアスをつけ、前会った時は結んでいた黒髪は今は下ろされている。
これは面白いことが起きそうだ。そんな予感がして、変装用の黒縁メガネをくいっと上げた。
「話がある」
俺たちの総長様が託した意志を継ぐ者。けれど、再会するとこいつの目の下にはうっすらと隈があり、心が壊れ始める前みたいな、そんな印象を抱いた。
何があってここまでに至ったのか知る由もない。おまけに一応東西は仲が悪いから余計どうでもよかった。
ちゃんとリリィを守って、幸せを感じさせてやれるならそれで。俺たちが手出しすることは無い。
「来いよ。タクシー待つ間くらいなら聞いてやる」