青い星を君に捧げる【弐】
当時の俺は壊れゆく彼女を傍で見ているしかできなかった。


「間違いなくハルにとって藤野佑真は特別で枷で、そしてお互いが唯一心に立ち入ることを許した人間」


付き合っていたとしてもアレは傍から見れば歪な関係。壊れた愛。だけど、きっと2人にはそれが心地良かったんだと思う。


ふたりぼっちの広い世界で愛し合っていた。


少なくとも俺の目にそう映っていたし、記憶している。


「お前はハルの何になりたい。何を与えられる」


相変わらず仏頂面の黒鉄は、考えるように合わせていた視線をすい、と夜空へ移動させた。


「俺は「あの男にかつて同じ質問をした」」


「……」


「『ハルの望む関係であればなんだっていい。俺はね、あの子にとって自由に笑っていられる世界を与えてあげたいんだ』そう言っていた」


黒鉄の回答を待たずして、俺は佑真さんの言葉をそのまま教えた。こいつの答えを聞いたところで二人の関係は不変であることには変わりない。


それに黒鉄と佑真さんは何もかもが違う。


ハルとの出会いも、知っていることも。2人ともハルは守られる側の人間だと考えているものの、佑真さんは付け加えて彼女が強いことも知っていた。
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