青い星を君に捧げる【弐】
「お〜い、ハル!!」


先生たちと立ち話をしていた聡太郎が遠くから腕をぶんぶん振って有り余る体力を見せつけてくる。


なんなら10代の高校生である私たちより元気なんじゃないか。


仕方なく聡太郎の元へ歩いていくと、彼の隣には80代くらいの朗らかなおじい様が横にいた。


「大変お綺麗に成長なされましたね……本郷家のお嬢様」


「……失礼ですが、どこかでお会いしたことありますか?」


物腰柔らかな口調のおじい様に私は見覚えがない。


「覚えていなくても仕方ございません。わたくしがあなた様にお会いしたのはこのように産まれて1年ほどのことですから」


そうしておじい様が鞄から取り出したのは立派な額縁に収まった写真。


そしてその中には本郷家当主で私の父と、父の腕に抱かれて笑っている私の姿があった。


こんな幸せそうな家族の形をしている写真を私は初めて見た。理解が出来なかった。指先が震える。


「このホテルは本郷が親元ですから。当主様が昔中国に訪れた時に利用されて、その時にこのホテルの支配人であるわたくしはお嬢様を紹介して頂きました」


「コソッ)昨日お前がウィッグ外しているとこ偶然見かけて話したかったんだとよ」
< 105 / 154 >

この作品をシェア

pagetop