青い星を君に捧げる【弐】
聡太郎の耳打ちでようやく脳は正常な判断能力を取り戻した。


「当主様はお元気であられていますか?」


「えっと……うん、多分。実は今の私と父はこの写真のよう仲良くはなくて。それで、変わりはないと思うんだけど」


歯切れの悪く、吃る喋りはおじい様を困らせるには十分すぎるものだった。


「まあ、そんなこともございます。当主様はあれほどお嬢様を溺愛されていましたからご傷心でしょうけれど」


「できあい……」


父から私に当てたにしては聞き覚えのない単語すぎて口にするのも躊躇した。だって父が愛してやまないのは本当の波瑠であるはずだから。


「またお2人仲睦まじい姿を拝見できる日を心待ちにしておりますよ」


そう告げるとおじい様は私たちの元を離れていった。未だ放心状態の私の肩に聡太郎がポンと手を置く。


「どういう訳だが俺も理解出来ない」


従兄妹と言っても私がそんな生まれたばかりの事なんて聡太郎は記憶にないだろう。


私の従兄妹であり、かつては白虎のトップを張っていた、尚且つ私が今通っている学校の理事長である彼はもう父の信用はないだろう。


当主の、父の腹を探るには私に近づきすぎた。
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