青い星を君に捧げる【弐】
「これでいいですね?」

杏里は一条を睨みながら問う。一条もこれ以上の追求は無駄だとわかったのか舌打ちをして引き下がった。


「これにて会議は終了にいたします。お集まりいただきありがとうございました」


終わりと共に一条とその副総長が立ち上がって部屋を後にした。そのあとに黒龍と青蝶以外が続く。


「まさか乱気流まで参加するとは…」


「鳴海さんの言う通りやで。あいつらが介入してくると碌なことにならへん」


剣斗くんが空いた席に腰を下ろしながら言った。


「一条の様子を見てたらわかるけれど、乱気流内部もああいう感じなの?」


「乱気流は波瑠が来る前に青龍に負けて傘下に入ったんだけど、トップ含めて反抗心は治ってない」


乱気流は青龍にとって不安材料にしかならない。この切羽詰まった状態だが、むしろ参加しない方がありがたかった。いや、それが狙いなのかも。私たちが負けることが。



「……真希」


「ん?なんだい黒鉄」


「しばらく青姫を預かってくれ。今回青蝶には青姫の護衛を頼みたい……死守だ」


慎は膝に置いて組んでいた手に力を込めた。彼は本気だ。前回の狂乱との抗争とは違う。私を本当に遠ざけるつもりだ。


「慎…それは私が足でまといだから?」


私は立って床を見つめている慎の近くに寄り、彼の白くなった手を上から包み込んだ。


「違ぇ……もしも俺たちが全員倒れてお前まで居なくなったら…俺はもう立ち上がれない」



慎はゆるりと重ねられた手を外すと、立ち上がった。高くなった彼の顔を見るために、私も見上げる。


そして慎はゆっくりと私の背に腕を回して、まるでガラス細工に触れるように抱きしめた。温もりが伝わってくる。


「もう何も失いたくないんだ」


「…うん、いなくならないよ。私が皆の帰ってくる場所になるから」


例え青龍の倉庫が無くなったって、私がいる限り青龍という存在はなくならない。私を仲間だと認めてくれたから、私も守るよ絶対に。


「それじゃあ、ウチらも青姫ちゃんを絶対に守らないといけないねぇ〜」


「青姫、黒龍も付いてます。」


鳴海さんと真希さんも私を安心させるように言った。


「真希さん、お世話になります」


「青姫のことはウチに任せて、アンタ達は思う存分やってきなさい!!」


ね?とウィンクする真希さんに私も頷いた。それを見てみんなも笑顔になる。こうして会議は青龍が黒龍・青蝶・乱気流を共に戦う者として終わりを告げたのだった。
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