青い星を君に捧げる【弐】
「珍しいですね、一様が何かに興味を示されるなんて」


「……俺が興味だと?」


「はい。特に真ん中の彼女が気に入ったようで」


今、流水はきっとにこにこと口角を上げているに違いない。厄介なのはこいつはからかうために言っているのはではなく、本心なのだ。

極めつけに流水は手を挙げ、あの女を呼び寄せた。女は俺の前まで来ると膝をつきながら、巧みに布を扱う。


頭につけている宝石が多く付いた装飾がぶつかり合ってシャランと音を立てる。輝く髪と共に大きなピアスが揺れた。


飲み干したグラスを置けば、女は酒を入れようと流水の傍にあった瓶を取ろうとした。しかしそれは叶わずに流水の手が女の細い手首を掴んだ。


「申し訳ありませんが、当主様へのお酌は「よい、やらせろ」」


流水の前に右手を出し、言葉をいなす。こいつは毒を盛られたりするのを防止するために言ったのだが、目の前の女がそのようなことをするとは到底思えなかった。


再び瓶に手を伸ばした女はそれを掴むと、俺のグラスへ酒を注ぐ。


その様子をじっと見つめていると、注ぎ終わった女が俺をその瞳に写した。絡んだ視線が離れることは無い。


「フッ……お前は目を逸らさないのだな」
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