青い星を君に捧げる【弐】
女の手だとすぐに気づいた。いつもならすぐに振り払い、触れた者の息の根を止める。だけど、今は……。


不思議と痛みが止み、引いていく。


「なぜだ」


痛みで下を向いていたが、目の前の女を見るために顔を上げる。


1/fゆらぎの声だとかそういう類の声なのだろうか。それとも特別な人に触れられると痛みが引くなんてことも聞いたことがある。


「一様、頭痛が……?」


「ああ。お前何をした」


「えっと私はなにも……」


女は本当に分からないようで首を傾げる。純粋無垢なその姿に目を奪われた。


「お前はやりたくて踊り子をしてるのか?」


「いえ……そうではなくて、両親が亡くなって生きるために」


俺と重なっている手にきゅっと力が入るのを感じる。


「ならいいだろう。流水」


「はい」


「この女を買え。金はいくら積んでも構わない。必ず本郷家に迎え入れろ」


「はい?!本気ですか」


流水の一際大きな声で今度こそ宴会会場中が静まり返った。次発せられるであろう俺の言葉に注目が集まる。


「お前の名は」


「あ、アイラ・キャベンディッシュと申します」


「アイラ……気に入った」
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