青い星を君に捧げる【弐】
「お前は大胆だな。それに生意気だ」


俺に遠慮の欠片もなく触れて、そしてひたすらに真っ直ぐと目を合わせてくる。自然と己の口角が上がっていることに気づいた。


俺の顔を見下ろすアイラのハニーブロンドを1束掬い、唇を落とす。


「子守唄でも歌ってくれるのか?」


「……あなたが望むのであれば」


少々揶揄い過ぎたようで不貞腐れて、口を尖らせながら彼女は言った。


こんな穏やかな日はいつぶりだろう。


ずっと続けばいいのに、と柄にもなく思ってしまった。


不変のものなどこの世には存在しない。それなのに願ってしまう。


俺のそばから離れたアイラは出窓に腰掛け、空気を吸う。


鳥の囀りのような、それでいて水の流れのように心地よい歌声が室内に響く。やはり彼女がそばにいると頭痛が治る。


楽しそうに唄うアイラの姿をひたすらに眺めていた。

「私を見てないで目をお瞑りください、ハジメ様」


唄い終わったのか彼女は一呼吸置いてから、まだ眠りについていない俺を見て注意する。


「……その唄はお前の故郷の子守唄か」


「母が私が幼い頃に歌ってくれていた曲なのでおそらくは」


アイラの唄った子守唄は聞いたことのないものであった。英語で紡がれるその曲は優しげである。
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