青い星を君に捧げる【弐】
《side.アイラ・キャベンディッシュ》
「ハジメ様は氷が溶けたら何になると思いますか?」
ふと、思い出して未だ覚醒しきっていない様子のハジメ様に尋ねた。
___ 一様の凍りついた心に春風をもたらすのは妖精のようなアイラ様であるとわたくしは確信していますよ。
「……水だろ。何を当たり前のことを」
「私はこの答えを探している最中なんです。当たり前は案外小さなことで覆ることがあるものですよ」
人生は色々な出会いがありますから、と眉をひそめているハジメ様に言った。
「理解し難いな」
「んふふ。いつか分かる時が来ますよ」
その時こそが貴方様に春が訪れた瞬間になると、私は思っています。
地平線へと消えかけているであろう太陽の光が彼の深い黒色を染めていた。
______________
______
__
彼の生活の一部に溶け込めてきたような、そんな晩夏。百合の宮にて雅と2人で当たり障りのない朝を迎えていた。
「そういえばアイラ様はここに来てから屋敷への外出はしていませんが、お望みはありませんか?もちろん、必要なものはこちらで揃えてはいますが……やはり欲しいものなどおありでしょうから」
「ハジメ様は氷が溶けたら何になると思いますか?」
ふと、思い出して未だ覚醒しきっていない様子のハジメ様に尋ねた。
___ 一様の凍りついた心に春風をもたらすのは妖精のようなアイラ様であるとわたくしは確信していますよ。
「……水だろ。何を当たり前のことを」
「私はこの答えを探している最中なんです。当たり前は案外小さなことで覆ることがあるものですよ」
人生は色々な出会いがありますから、と眉をひそめているハジメ様に言った。
「理解し難いな」
「んふふ。いつか分かる時が来ますよ」
その時こそが貴方様に春が訪れた瞬間になると、私は思っています。
地平線へと消えかけているであろう太陽の光が彼の深い黒色を染めていた。
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彼の生活の一部に溶け込めてきたような、そんな晩夏。百合の宮にて雅と2人で当たり障りのない朝を迎えていた。
「そういえばアイラ様はここに来てから屋敷への外出はしていませんが、お望みはありませんか?もちろん、必要なものはこちらで揃えてはいますが……やはり欲しいものなどおありでしょうから」