青い星を君に捧げる【弐】
例えば一様の誕生日プレゼントとか、と雅に図星を突かれて肩が揺れた。出会って数ヶ月、彼女は人の心を読み取るのが上手だということを最近知った。
何食わぬ顔で朝食を済ませ空いた食器を運ぶ雅に私は小さく笑う。
「一様に外出許可を取って参りますね。女中に身支度をさせるよう言っておきます」
「外出許可……ですか」
「はい。本来は不要ですが、どうやら一様は心底アイラ様を寵愛されているように見受けられますので」
寵愛というワードは私の顔に熱を持たせるには十分すぎるものだ。
そもそもハジメ様の誕生日が近いというのは本邸に赴いた際に女中たちの噂で耳にした。それまで誕生日という行事はすっかり私の頭から抜け落ちていた。
誰かが生まれた日を、特別な日を祝いたいと心から思ったのは初めてのことだ。
女中たちに目かしこまれ、鏡に映る自身はよそ行きの姿へと変化していた。
「ハジメ様はどんなものがお好きなのかな」
私の悩みは誰にも聞こえることはなく、空気に溶けて消えてしまった。
𓂃◌𓈒𓐍
本郷家に来てから初めて屋敷の外に出た。両親を亡くしてからずっと1人で生きるために働いていたのが嘘のように、最近はゆったりとした時間を過ごしている。
雅と共に車に乗る。ふかふかの席に広い車内にいつもながら本郷家の財力を恐れ入ってしまう。
何食わぬ顔で朝食を済ませ空いた食器を運ぶ雅に私は小さく笑う。
「一様に外出許可を取って参りますね。女中に身支度をさせるよう言っておきます」
「外出許可……ですか」
「はい。本来は不要ですが、どうやら一様は心底アイラ様を寵愛されているように見受けられますので」
寵愛というワードは私の顔に熱を持たせるには十分すぎるものだ。
そもそもハジメ様の誕生日が近いというのは本邸に赴いた際に女中たちの噂で耳にした。それまで誕生日という行事はすっかり私の頭から抜け落ちていた。
誰かが生まれた日を、特別な日を祝いたいと心から思ったのは初めてのことだ。
女中たちに目かしこまれ、鏡に映る自身はよそ行きの姿へと変化していた。
「ハジメ様はどんなものがお好きなのかな」
私の悩みは誰にも聞こえることはなく、空気に溶けて消えてしまった。
𓂃◌𓈒𓐍
本郷家に来てから初めて屋敷の外に出た。両親を亡くしてからずっと1人で生きるために働いていたのが嘘のように、最近はゆったりとした時間を過ごしている。
雅と共に車に乗る。ふかふかの席に広い車内にいつもながら本郷家の財力を恐れ入ってしまう。