青い星を君に捧げる【弐】
「彼は空の上で…月のように私を見守ってくれてると思うよ」


そういうと同席していた幹部たちは察したように私に向けていた視線を下ろした。真希さんが追加で注文したビールを喉に通すのが大きく聞こえる。


「今の表情をあの男たちに見せたら面白かっただろうな!」


「そんな変な顔してた?」


いや、と楽しそうに笑う彼女に首を傾げた。


「すごくその彼が愛おしいんだろうなっていうのが伝わったよ」


正面に座っていた副総長が真希さんの代わりに私の気持ちに答えた。そっか、そんな顔してたんだ私。

青龍(ここ)に出会って生活していたら気が抜けることが多くなったことは自覚していたし、匡にも言われた。


「彼が蒔いてきた種を私が水やりをして育ててる途中なの。きっと綺麗に咲くと思う」


ずっと西にいたはずの彼はこうして遠く離れたこの場所にも種を蒔いていて、私を助けてくれた。


「あの集会の日、初めてお前を見た時危うい子だと思った。黒鉄たちが守ってやりたいと言っている理由の一つなのかと」


真希さんは私の肩に腕を伸ばすと、自身へと引き寄せた。少しタバコの匂いが混じった柔らかい香水の匂いがする。


「お前は強い!!だから青龍たちの帰る場所になってあげな。女には女の戦い方があるんだからさ!!」


「…ああっ」


ツキの時とは違う戦い方、守る方法。それは私にとって経験が少ないから心の片隅では不安だったんだ。そのことを真希さんだけではなく慎にも気づかれてたのかもしれない。


同性同士だったら腹を割って話せるかもと。…気を使わせちゃったかな。この集まりが終わって家に帰ったら、慎に電話してみようかな。
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