青い星を君に捧げる【弐】
穏やかな彼女の笑みが焦っていた私に安心感を与える。雅が私の姉であったなら良かったのにと心の底から思った。


それから本郷家へと戻り身支度を済ませた後、私たちはハジメ様の誕生会が開かれる本邸の藤の間にいた。


向けられる好奇の目。ひそひそと影で指を差されているのに気づくには十分なものだ。


それでも私はハジメ様が家に迎えると認めてもらった人間だと心に留めて耐える。


「これはこれは当主様に見初められたレディじゃないですか!お目にかかれて光栄です」


私の父が生きていれば同い歳ぐらいであろうふくよかな体型の男性が私を舐めるような視線で上下させる。


到底心にも思ってないだろう言葉を並べこの人は一体何がしたいのか。


「それはそれは美しく、当主様が気にかけているという噂は耳にしておりましたが……残念ながら今当主様のお傍にいることを許されたのは"我が娘"です」


「……ッ!」


そんなこと分かっていたことなのに。ハジメ様には既に心を許した方がいらっしゃって、私を買い取ったのは気まぐれなんだと。


男性の大きな笑い声が騒がしい会場に溶ける。どうだ、自分の娘が選ばれたのだと嘲笑う。
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