青い星を君に捧げる【弐】
「お前に関係の無いこと。口を挟むな」


「それでは聞き方を変えます。婚約者である私を差し置いて、なにゆえその女性と一緒にいるのか」


先程までの冷静さが欠け、感情を露わにする口振りで私を睨んだ。それでもハジメ様は私を離さない。


「俺の婚約者というだけで随分と偉い口を聞くようになったな」


「っ!!私は本郷家を支える川瀬家の娘です!!それに幼い頃から一様をお慕い申しておりました!!それなのに、この私を差し置いて……」


だんだんと声が大きくなっていく綾乃様を制したのは彼女の父である川瀬様だった。綾乃様と私たちの間に割って入ると頭を垂れる。


「綾乃、一旦落ち着きなさい。……当主様申し訳ございません。娘の出過ぎた真似をお許しください。ですが、貴方様が他の女性に好意を向けているのもまた事実」


「何が言いたい。はっきりと言え」


ハジメ様は私をその背に庇うと、不機嫌であることを表しにて地を這うように低い声を出す。


「その女は当主様にとってどのような存在なのか、関係なのか。この場にいる者を証人にして仰って頂きたい」


ハジメ様は深いため息を漏らすと握っていた私の手を引き、そして自らの横に立たせると私の右肩を抱いた。
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