青い星を君に捧げる【弐】
____百合の宮を燃やせ

そう言おうとした。


「この子の名前は"リリィ"にして欲しい、とアイラ様からの最期の言葉です」


アイラを傍で看取った雅が俺たちの子__リリィを泣き止ませようと抱きながら言う。


それを聞いて指示しようと開いた口を閉じてしまった。


リリィ____百合。お前はどこまでも俺の思考を邪魔しようとするんだな。


俺の好きな花で、いつしかアイラも好きだと言っていたその花の名を付けるなんて。


憎い、嫌いだ


小さすぎるその存在を握りつぶしてしまいたいと手を伸ばした。その時、リリィは泣き止んでこくりと眠ってしまった。


その顔を見て、首にかけた手を引く。


また明日でいいかと俺は初めて自分の判断を止めた。


𓂃◌𓈒𓐍

アイラが死んで、リリィが産まれた日から数ヶ月。俺は幾度も今目の前にいるこの子を殺そうとした。


屋敷で静まり、1人になるとアイラを奪ったこいつを恨んだ。


殺してやろうとリリィのいる百合の宮へ行くと不思議とその感情は薄れ消え、孤独さえも失せる。


アイラの言った通りだ。


____ あなたは独りにはなりませんよ。この子がいるじゃないですか
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