青い星を君に捧げる【弐】
____ この子を必ず守ってあげてください。この子は私たちの子供ですから。愛してあげてください、私にそうしてくれたように。


こんな握りつぶせるほど小さな命、殺すのはまた明日でいいか。そうやって明日、明日と延びていくうちにリリィは日を追う事に成長していった。


同時期。婚約をしていた川瀬から『一様の娘を綾乃が出産し死亡した』と連絡が来た。俺の娘をあの女が産めるはずがない。


アイラと出会う前は女遊びに走っていた時期もあったが、彼女と出会ってからそれもめっきりなくなり川瀬の娘とは一夜も過ごしていないからだ。


綾乃が死亡したことにより生まれたばかりの娘は1人本郷家へと迎えられた。遺伝子検査をするのも面倒だし、それにリリィと同世代の赤子を見ることで俺は果たしてリリィだけにこんな感情を抱いているのか確認したかった。


川瀬家から迎えられた赤子、名前を波瑠と言う。初めてそいつがいる本邸内の朧月の間に足を運んだ。


無情だった。


こいつは今後使えるかもしれないから、と俺の娘ではないことは伏せて本郷家で育てることを命じた。


「俺の娘はやはりお前だけのようだな、リリィ」


朧月の間からそのまま百合の宮へと足を運ぶとついさっき寝たというリリィを起こさないようにその小さな手に触れる。


同時にリリィはふにゃりと安心したような寝顔を見せ、俺の人差し指をきゅっと握った。
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