青い星を君に捧げる【弐】
本郷家に帰ってみれば、既に侵入者たちの拘束は済んでいたようだった。百合の宮は家具が倒され、荒れている。


奥から雅に抱かれたリリィが姿を現した。余程怖かったようで泣きじゃくっている。


「流水、侵入者たちの目的は」


「一様が過保護に愛している娘、百合の姫を人質に身代金など他を要求しようとしていた模様です」


俺がリリィを大切にしているのは第三者から見ても明らかだったから。だからこんな事になってしまったのか。


本郷家がどれほど危険と隣り合わせなのか最も理解しているのは俺のはずなのに。


____ この子を必ず守ってあげてください。この子は私たちの子供ですから。愛してあげてください、私にそうしてくれたように。


「アイラ……リリィは必ず守る。約束する」


泣き止まないリリィを雅から受け取り、抱きしめる。そうするとぐずぐずとしゃくりあげながらも泣きやみ、やがて眠ってしまった。


小さく柔らかな存在を守るために、俺はこの子から離れることを心に決めた。


リリィ、許してくれ。こんな手段しか取れない弱き父を。


この先俺はお前に辛く冷たく当たるだろう。それでもどうか健やかに成長し、生きてくれ。
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