青い星を君に捧げる【弐】
《side.本郷波瑠》

副総長が離脱し、青龍は総長と幹部2人という圧倒的人手不足の中、活動していた。

元々4人で回すはずの見回りは私が来た時には3人でやっていたし、現状2人の幹部だけでは回せなくなり、下っぱのリーダー格である優にもその役目は与えられた。


「ねぇ〜波瑠聴いてよ!!杏里がn「失礼します!!」


彼方が杏里の愚痴をこぼそうとした時、慌ただしく入って来たのはいつも礼儀正しく入室する優だった。


「アグニが攻めてきて、今下に!!」


「アグニって…俺らもすぐ行くからここに望を」


「もう来てます!!」


優の後ろからノンちゃんが現れる。慎、彼方、杏里はすぐさま特攻服を羽織り出ていく。


「ノンちゃん!!アグニって!?」


「火天と書いてアグニと呼ばれている族だ。総長はもちろん幹部さえ誰も見たことがない。いないのでは…とも言われるほど。そして構成員の数も不明。謎に包まれてる暴走族。それがアグニ」


窓から下を覗くとそれなりの数が侵入にて来ている。下っぱメンバーたちが抑えていたところに杏里と彼方、慎が加勢する。


「やっぱり暴れてくれる副総長がいないと士気がいつもより低い」


「ちょっと危ないね、青龍側の人数が足りないから力はあるのに数で負けてる」


ほんの僅かずつだけれど青龍とアグニの前線が青龍側に下がって来ている。……もしも、本当にもしもだけど戦える人がいなくなったら、その時は私が……。


「…ん?アグニ側の後方が変だ、乱れてる」


ノンちゃんに言われて目を凝らして見てみると、確かに殴り合いが激化している前線と同じほどに倉庫シャッターがある後方が乱れていた。


状況把握をするために窓を少し開けて声が聞こえるようにする。


「青龍の援軍か!!」「挟み撃ちされてるぞ!!」と調子を崩したアグニメンバーの声。


「あれは…?」

「ああ!!あれはケントさん!!」


「ケントって、青龍幹部の?」


やっと帰って来てくれた!と喜びの声をあげるノンちゃん。なんともナイスタイミングなおかえりである。


「二人いるようだけど」


「あっちの赤髪の方がケントさんで、その隣の方は…誰だあれ?」


遠すぎて顔は見えないが赤髪をポニーテールに結んでいるのが、ケント。その隣にいる黒髪の人も味方なんだろうけど、ノンちゃんは知らないようだ。

ケントの登場で青龍は一気に戦況を変えた。
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