青い星を君に捧げる【弐】
___バシンッ
一条の拳を両手で受け止めて握る。彼と俺の上がる息の音だけがその場を支配した。
「俺だって青龍を倒したいって野望を持った時はあった」
「…はっ?」
まだ俺と黒鉄総長が総長の座に就いたばかりの時、青龍はごたついていた。これはチャンスなんじゃないかって密かに俺は考えてた。
しかしそれさえも黒鉄総長は見抜いていたんだ。わざと内部がまとまってない状況を見せて、同盟・傘下の信用度を測ってた。
「あの人は人の上に立つべき器がある。決して独裁するような人じゃない。一度腹を割って話してみるといい」
「そんなことできるかよ」
「今俺には話してくれただろ?」
捕まえていた一条の手がビクリと揺れて、力がだんだんと弱くなっていく。その時、背後から足音が聞こえて振り返る。
「総長!!!」
あれは乱気流の副総長だったか。2対1はまずいな、と警戒心を再び強める。一条の手が俺に捕まっているのを見ると副総長は俺に攻撃の体制に入った。
「…やめろ」
一条が小さく、しかし通った声で副総長に言った。そのおかげで俺に向かってきていた腕がピタリと止まる。
「総長?ですが…!」
完全に力が入っていない一条の手を離すと、その続きで俺の肩にその手は乗った。
「ありがとうな、鳴海。オイ、乱気流全員に抗戦をやめて撤退するように伝えろ」
「一条…」
「また今度話そうじゃねえか。お前とは気が合いそうだ」
一足先に去った副総長に続いて一条も出口へと向かって歩いていく。一条を止められた安堵から緊張がほぐれて、なんとか耐えていた痛みが襲ってきた。
ヨタヨタと近くの壁まで寄って、壁に縋るようにして座ろうとした。が、体重を支えられずに横になって倒れる。
「あとは頼みましたよ、黒鉄総長」
一条の拳を両手で受け止めて握る。彼と俺の上がる息の音だけがその場を支配した。
「俺だって青龍を倒したいって野望を持った時はあった」
「…はっ?」
まだ俺と黒鉄総長が総長の座に就いたばかりの時、青龍はごたついていた。これはチャンスなんじゃないかって密かに俺は考えてた。
しかしそれさえも黒鉄総長は見抜いていたんだ。わざと内部がまとまってない状況を見せて、同盟・傘下の信用度を測ってた。
「あの人は人の上に立つべき器がある。決して独裁するような人じゃない。一度腹を割って話してみるといい」
「そんなことできるかよ」
「今俺には話してくれただろ?」
捕まえていた一条の手がビクリと揺れて、力がだんだんと弱くなっていく。その時、背後から足音が聞こえて振り返る。
「総長!!!」
あれは乱気流の副総長だったか。2対1はまずいな、と警戒心を再び強める。一条の手が俺に捕まっているのを見ると副総長は俺に攻撃の体制に入った。
「…やめろ」
一条が小さく、しかし通った声で副総長に言った。そのおかげで俺に向かってきていた腕がピタリと止まる。
「総長?ですが…!」
完全に力が入っていない一条の手を離すと、その続きで俺の肩にその手は乗った。
「ありがとうな、鳴海。オイ、乱気流全員に抗戦をやめて撤退するように伝えろ」
「一条…」
「また今度話そうじゃねえか。お前とは気が合いそうだ」
一足先に去った副総長に続いて一条も出口へと向かって歩いていく。一条を止められた安堵から緊張がほぐれて、なんとか耐えていた痛みが襲ってきた。
ヨタヨタと近くの壁まで寄って、壁に縋るようにして座ろうとした。が、体重を支えられずに横になって倒れる。
「あとは頼みましたよ、黒鉄総長」