青い星を君に捧げる【弐】
「私にとっても…ヒーローだった!お兄ちゃんはッ!!たまにしか会えないけど……大好きだった…グスッ」
「うん、うん」
大勢人がいることも忘れて彼女は今までどうすることもできなかった感情を私に縋るようにして爆発させた。すすり泣く声が痛くその場を支配した。
「……もういいんだよ」
私の服を握りしめて声が枯れるほど泣いた葵ちゃんは目を赤くさせていた。しかし先ほどまでとは打って変わって、まるで別人のように見えた。
彼女の眼も表情も光り輝いていた。初めて会った時に、戻ったように。かくれんぼして遊んだあの日のようだ。
『もういいかーい!!』
「…こんなことしてしまったけど、また…遊んでくれる?」
葵ちゃんは震え声で言った。声に反して晴れやかな顔だ。
『もういいよー!!』
「っ、当たり前じゃない」
葵ちゃんの笑顔が波のように私に伝わって、周りの人たちにまで伝わったように思えた。
「葵、帰ろう。家に帰ろう」
「ちあちゃん、れんちゃん…」
蓮が葵ちゃんのそばに片膝をついてそう言った。千秋も兄の傍らに立っている。私は彼女に回していた腕を解くと、葵ちゃんの腕は蓮の方へと伸びた。
蓮が葵ちゃんを抱き上げる。蓮の胸に顔を埋めるようにぎゅうと抱きついた彼女に兄弟は優しい目で見ていた。
「ありがとうな。葵に全力でぶつかってくれて」
「…あんたたち火天が負けることになるけど言いわけ?」
私に感謝を述べた千秋はすでに眠りについてしまった葵ちゃんの顔にかかる髪をよけてあげる。
「俺たちは元々群れになるつもりはないし、それに葵が満足すればそれでよかった」
葵を抱いた蓮が立ち上がるとゆっくりと立つ。千秋もそんな兄に後ろにつくように踵を返す。
「葵ちゃんをお願いね」
蓮と千秋は立ち止まる様子は見せずにそのまま去っていった。
「……俺たち勝ったのか?」
2人が完全に見えなくなると杏里がぽつりと呟いた。杏里と肩を組んでいた彼方もその言葉に起因し、目を輝かせて慎を見た。
「勝った……青龍の勝ちだ」
「うおおおお!!!」「よっしゃあああ!」「やったぞ!?!!」
慎の宣言にその場にいた青龍メンバーは喜びの雄叫びをあげた。その勢いと雰囲気で一気に緊張状態が解けて私は一度あげた腰を重力に逆らわずに落とした。
「大丈夫か?ごめんな、顔に傷できちまった」
私の正面に胡座をかいて言ったのは慎だった。鏡があるわけじゃないから断定はできないけど赤く腫れ上がってるに違いない。そっと触れると痛んだ。
「残るほどじゃないし、大丈夫。それに謝らなきゃいけないのは私。巻き込んじゃってごめんなさい」
頭を下げようとした私の肩を慎が抑えた。さっきも言った、と私の目をまっすぐ見つめた。
__お前を守りたいからここに置いた
「うん、うん」
大勢人がいることも忘れて彼女は今までどうすることもできなかった感情を私に縋るようにして爆発させた。すすり泣く声が痛くその場を支配した。
「……もういいんだよ」
私の服を握りしめて声が枯れるほど泣いた葵ちゃんは目を赤くさせていた。しかし先ほどまでとは打って変わって、まるで別人のように見えた。
彼女の眼も表情も光り輝いていた。初めて会った時に、戻ったように。かくれんぼして遊んだあの日のようだ。
『もういいかーい!!』
「…こんなことしてしまったけど、また…遊んでくれる?」
葵ちゃんは震え声で言った。声に反して晴れやかな顔だ。
『もういいよー!!』
「っ、当たり前じゃない」
葵ちゃんの笑顔が波のように私に伝わって、周りの人たちにまで伝わったように思えた。
「葵、帰ろう。家に帰ろう」
「ちあちゃん、れんちゃん…」
蓮が葵ちゃんのそばに片膝をついてそう言った。千秋も兄の傍らに立っている。私は彼女に回していた腕を解くと、葵ちゃんの腕は蓮の方へと伸びた。
蓮が葵ちゃんを抱き上げる。蓮の胸に顔を埋めるようにぎゅうと抱きついた彼女に兄弟は優しい目で見ていた。
「ありがとうな。葵に全力でぶつかってくれて」
「…あんたたち火天が負けることになるけど言いわけ?」
私に感謝を述べた千秋はすでに眠りについてしまった葵ちゃんの顔にかかる髪をよけてあげる。
「俺たちは元々群れになるつもりはないし、それに葵が満足すればそれでよかった」
葵を抱いた蓮が立ち上がるとゆっくりと立つ。千秋もそんな兄に後ろにつくように踵を返す。
「葵ちゃんをお願いね」
蓮と千秋は立ち止まる様子は見せずにそのまま去っていった。
「……俺たち勝ったのか?」
2人が完全に見えなくなると杏里がぽつりと呟いた。杏里と肩を組んでいた彼方もその言葉に起因し、目を輝かせて慎を見た。
「勝った……青龍の勝ちだ」
「うおおおお!!!」「よっしゃあああ!」「やったぞ!?!!」
慎の宣言にその場にいた青龍メンバーは喜びの雄叫びをあげた。その勢いと雰囲気で一気に緊張状態が解けて私は一度あげた腰を重力に逆らわずに落とした。
「大丈夫か?ごめんな、顔に傷できちまった」
私の正面に胡座をかいて言ったのは慎だった。鏡があるわけじゃないから断定はできないけど赤く腫れ上がってるに違いない。そっと触れると痛んだ。
「残るほどじゃないし、大丈夫。それに謝らなきゃいけないのは私。巻き込んじゃってごめんなさい」
頭を下げようとした私の肩を慎が抑えた。さっきも言った、と私の目をまっすぐ見つめた。
__お前を守りたいからここに置いた