青い星を君に捧げる【弐】
「みなと!!」

ドアを開けようとするけれど運転席からロックがかけられたのか開かない。唯一開いていた窓から身を乗り出し彼の名前を呼ぶ。

「そいつが安全なとこまで連れてってくれるから」


「それじゃあ湊も一緒に!!!」

私が窓にかけていた指を湊はするりと撫で、口づけを落とす。時間にすればコンマ数秒、だけど長く感じた。


「じゃあな、波瑠。久しぶりに会えてよかった」


いけ、と運転手に湊は指示しそれと同時に発進してしまう。指と指が離れて、湊へと手を伸ばすけど届くことはなく無情にも距離は開いていった。


パクパクと口を動かした湊はすでに煙が立っている施設へと踵を返した。


_____ありがとう

その言葉を最後に残して。
< 55 / 154 >

この作品をシェア

pagetop