青い星を君に捧げる【弐】
《side.黒鉄慎》
肩を優しく揺すられ目を開ける。どうやら寝ていたようで心配そうなリンファの顔が目に映る。
「着いたぞ仮面舞踏会。それぞれこれを付けるんだ」
理事長に手渡されたのはアイマスクタイプのヴェネチアンマスク。リンファも用意していたものを持っていた。理事長はフルフェイス型。皆それぞれ違うデザインだ。
やっと車から降りるのに行列をつくっていた時間から解放された。リンファはランを見つけるためにきょろきょろと辺りを見渡す。
入口で招待状の確認をされた後、舞踏会場に案内される。大扉が開かれ1歩、中に踏み込めば別世界が広がっていた。煌びやかなドレスに身を包んだ女性たち、豪華なシャンデリア。見たことのない綺麗な食事。
「すごいな」
「ねぇ!!あっち行ってみようよ」
彼方が足早く大きく両サイドに広がる階段のうち右の方から会場に下がっていく。それに俺たちも続いた。
「あの、わたしはあっちの方を探すのでここで一旦…」
「わかった。何かあったら呼んでくれ」
リンファは左の階段から降りていった。
階段の途中で止まっていた俺を青い中華風ドレスを着たブロンド髪の女性が追い抜いた。ふんわりと柑橘系の香りが鼻腔をくすぐる。
その凛とした後ろ姿に目を奪われた。無意識に伸ばしていた手を寸前に止める。
…俺は手を伸ばしてどうしようとしてたんだ。
引っ込めた手のひらを見つめて、ぎゅっと握った。
「慎さん?」
「……なんでもない」
俺は優たちが先に降りたフロアへ1歩踏み出した。
肩を優しく揺すられ目を開ける。どうやら寝ていたようで心配そうなリンファの顔が目に映る。
「着いたぞ仮面舞踏会。それぞれこれを付けるんだ」
理事長に手渡されたのはアイマスクタイプのヴェネチアンマスク。リンファも用意していたものを持っていた。理事長はフルフェイス型。皆それぞれ違うデザインだ。
やっと車から降りるのに行列をつくっていた時間から解放された。リンファはランを見つけるためにきょろきょろと辺りを見渡す。
入口で招待状の確認をされた後、舞踏会場に案内される。大扉が開かれ1歩、中に踏み込めば別世界が広がっていた。煌びやかなドレスに身を包んだ女性たち、豪華なシャンデリア。見たことのない綺麗な食事。
「すごいな」
「ねぇ!!あっち行ってみようよ」
彼方が足早く大きく両サイドに広がる階段のうち右の方から会場に下がっていく。それに俺たちも続いた。
「あの、わたしはあっちの方を探すのでここで一旦…」
「わかった。何かあったら呼んでくれ」
リンファは左の階段から降りていった。
階段の途中で止まっていた俺を青い中華風ドレスを着たブロンド髪の女性が追い抜いた。ふんわりと柑橘系の香りが鼻腔をくすぐる。
その凛とした後ろ姿に目を奪われた。無意識に伸ばしていた手を寸前に止める。
…俺は手を伸ばしてどうしようとしてたんだ。
引っ込めた手のひらを見つめて、ぎゅっと握った。
「慎さん?」
「……なんでもない」
俺は優たちが先に降りたフロアへ1歩踏み出した。