青い星を君に捧げる【弐】
「それに伴ってだが、第二次桃討伐作戦が前倒しされることが決定した。決行は……明日の17時」


「あしたの、17…じ」


つまりは明日私たちが彼を救出できなければ、本郷家の精鋭部隊に殺される可能性が限りなく高いということを指していた。


「把握はした。だけど明日私はついていけない」


「そうか。俺は部隊に放り込まれたから、16時以降は連絡取れないからな」


「わかった……気をつけてね、匡」


「……何をしでかすのかは知らないけど、波瑠お前も死ぬな」


そう言い残すと匡は電話を切った。ツーツーという音だけがこだまする。スマホをつぶす勢いで握ると自室へと戻った。


________
____
__

翌日、15時。セントラルビル1階東口。

ランが所有し、湊がいるはずのビルに私たち4人とそして……。


「……」


動きやすい服装に身を包んだリンファがビルを見上げ目を細める。

出発時にリンファが私たちに頭を下げたのだ。『ランは私が必ず止める。だから連れて行ってほしい』、と決意の籠った瞳で私たちを見て言った。


今回私たちは戦いをするつもりはない。あくまで隠密。その後に追手がいたとしても本郷家の討伐隊に殲滅されるだろう。
< 72 / 154 >

この作品をシェア

pagetop