青い星を君に捧げる【弐】
「……私も思っていました。いくら一般人が出入りできるビルとはいえ上階にはマフィア幹部たちがいる」
「……ランは俺たちを手招いているのかもな」
リンファの言葉に慎が一拍置いて答えた。彼の言っていることはおそらく正しい。私たちはランの手の上で踊らされていて、行動も全て把握されているはず。
「それでも私たちは湊を助けるために進むしかない。リンファだって同じでしょ?」
彼女はランの心が昔と変わっていないところがあるはずだと、優しいあの頃の心がカケラでも残っていると信じている。信じているから怖くても立ち向かっている。
「っ、はい!!」
リンファの元気な返事に私たちの張り詰めた空気が和んだ。エレベーターのドアが開く。開けばそこは59階。
大きな窓に近づくと眼下のはるか下に広がる豊かなで賑やかな街の姿。このビルの主、ランが少なからず影響を与えたであろう。
「この非常階段を登って60階から順に探そう」
足音を極力抑えて全員で階段を駆け上がった。上がる呼吸を抑制し、優は冷や汗を拭っている。彼方は唾を無理矢理飲み込み、慎はぎゅっと眉を顰めた。
そしてリンファは胸の前で両手を握りしめている。
「……ランは俺たちを手招いているのかもな」
リンファの言葉に慎が一拍置いて答えた。彼の言っていることはおそらく正しい。私たちはランの手の上で踊らされていて、行動も全て把握されているはず。
「それでも私たちは湊を助けるために進むしかない。リンファだって同じでしょ?」
彼女はランの心が昔と変わっていないところがあるはずだと、優しいあの頃の心がカケラでも残っていると信じている。信じているから怖くても立ち向かっている。
「っ、はい!!」
リンファの元気な返事に私たちの張り詰めた空気が和んだ。エレベーターのドアが開く。開けばそこは59階。
大きな窓に近づくと眼下のはるか下に広がる豊かなで賑やかな街の姿。このビルの主、ランが少なからず影響を与えたであろう。
「この非常階段を登って60階から順に探そう」
足音を極力抑えて全員で階段を駆け上がった。上がる呼吸を抑制し、優は冷や汗を拭っている。彼方は唾を無理矢理飲み込み、慎はぎゅっと眉を顰めた。
そしてリンファは胸の前で両手を握りしめている。