青い星を君に捧げる【弐】
「……リンファ、緊張しすぎないで。体が思ったように動かなくなる。私が、みんなを必ず守るから」


彼女の両手を覆うように上から包むと、耳元で小さく言った。え、とこわばっていた顔が崩れる。


「__私こう見えて結構強いから」


パッとリンファから手を離すと同時に、慎が潜入の合図をかけた。


60階は想像していたような警備体制ではなかった。むしろ誰もいない。そしてどの部屋を開けても物一つもなかった。


「どこかの階に総力集めてるのかな……」


「こんなガキども5人をマフィアがそんなに恐るか?」


その話を聞いて私ははっと思った。17時に決行される本郷家による桃討伐作戦。桃、湊がいるのはこのランのセントラルビル。


感づいたランが迎撃戦の準備をしているのだとしたら。


こんな逃げ場のない上階にボスであるランがいる必要はあるのだろうか。上に導かれた本郷家部隊をビルごと爆発なんてことも……私としたことが、出遅れた!!


「優っ!!セントラルビルの全体マップは?!」


「えっ、はい、一応入手してます」


スマホに映し出されたビルの立体像を画面に触れて上下左右に動かす。


怪しいところ、怪しいところを見つけ出せ……!!
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