青い星を君に捧げる【弐】
「あった!!」


1階部分の不自然な作り。普段客たちから見えている壁の向こう側に謎の空間がある。おそらくここに……。


「ここの壁をどうにかしたら多分地下に続く階段があるはず」


「地下?でも波瑠、このビルは」


「マフィアのビルにからくりがあることなんて普通だと思う。地下がどこまであるのか予想がつかないけれど、下にいるのがランで最上階にいるのが多分だけど湊」


スマホに表示されている時刻は16時30分。匡は16時以降電話に出れないと言っていたけれど……。


自分のスマホを素早く取り出し、履歴の一番上の名前をタップした。数コールののち、『もしもし』と聞こえた。


『16時以降は出れないって伝えなかったか』

「おまえが私の電話に出ないなんてことないと信じてたよ」


私が突然電話をかけたことでみんなの視線が集中する。


「本動隊はおそらくセントラルビルの地下だ。地下を攻めてビルの爆発を阻止して」


『……了解。お前は」


「私は、上に残る。湊を助ける」


だろうな、とため息まじりの匡の声がスピーカー越しに聞こえ、ニヤリと口角を上げながら電話を切った。


「波瑠、今のは」

慎が真っ直ぐに私を見つめる。きっと静かなビル内だから微かにだけどスピーカーの声が漏れ出て聞こえていたはず。
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