青い星を君に捧げる【弐】
「そして本郷家の当主から五大幹部まで順に数字を与えられ、当主が壱、そして当主の子供が弍……だ」


「へえ、よく知っているじゃないか。そこまで知っているなら今日は応用を覚えよう」


あたしはスルリと両手をすり合わせ、にっこりと微笑みかける。明らかに武力はこちらが不利なのにも関わらず、側から見れば形勢逆転していた。


「藤の紋に数字が刻まれたものを所持している者に会ったならば平伏せ、敬え、そして……気分を害することをすることなかれ」


お前たちが次するべきことはわかっているよね、と続けると一斉に合図をしたかのように首を垂れる。


「慎、湊はあたしに任せて地下へ向かって。匡が手を貸してくれるはずだから」


「……お前は、波瑠は本郷家の姫……だったのか?」


「隠しててごめん。それでもみんなと過ごしてきた“私”はありのままだった。何も持たない私を守ってくれた。……恩を返させてほしい」


「僕たちッ、また会えるよね?!ここでお別れなんかじゃないよね」


彼方がポロリと一筋涙を流しながら言う。私は彼らを振り返る。まるでカメラのレンズを向けられている人のように、さっき敵たちに見せた顔とは全く違う笑顔を浮かべた。


「あなたたちが、私を必要だと言ってくれるなら」


__お前を守りたいからここに置いたんだ


__まもってもらわなくても私は大丈夫


__じゃ、勝手に守らせろ…それで好きな時に"助けろ"って言え


狂乱との抗争後の慎との会話をふと思い出した。慎はその言葉をずっと守ってくれている。だから今度は私の番。
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