青い星を君に捧げる【弐】
慎は私をじっと見つめた後、リンファの手首を掴んで走り出した。それに遅れをとる形で彼方と優も続く。遠ざかる彼らの背中を目に焼き付けた。


この戦いが終わって青龍たちにお前はもういらない、と言われたとしたら私は潔くあの地を去ろう。


__だから今だけは青龍として湊を救うのを手伝わせてほしい!!


「さあ桃の場所へと連れて行ってもらおうか」


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《side.黒鉄慎》
来た道を駆け戻っている中、足音しか響かなかった俺たちの間に彼方が話を切り出した。


「波瑠が本郷の姫だなんて。もっと早く言ってくれていれば今までの争いは起こらずに済んだかもしれないのに」


「……そもそも日本の裏社会を支配している御三家である本郷・天沢・七扇は狙われることが多く当主含め次期当主候補たちさえも顔や名前を知られていない。知られている名前はほとんどが通り名だ」


「そんな俺たちに緊急事態だったとはいえ正体を明かしてくれたんです。……それに波瑠さんにとって本郷という称号で判断されたくなかった、ということです」


足は止めることなく会話が続く。彼方がそっか、と真に納得した声で言った。
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