青い星を君に捧げる【弐】
《side.リンファ》

引き返せないところまで来ているのだと確信している。地下へ到達したわたしたちを待ち受けていたのは大勢のマフィアたち。


そして男たちの中心には冷めた顔のランがいた。あなたにはそんな表情は似合わない、本当のランは心優しい人だ。


「そこをどけろ、リンファ。私はお前を殺す気はないんだ」


連れてきてくれた本郷家の人たちに銃を向けられ、わたしは咄嗟に彼らの前に立ちはだかった。

__怖い。

銃口は私を睨んでいて、わたしの手はカタカタと震えている。それを隠すように指先が白くなるまで握りしめた。


それでも、立ち止まっていては彼を救うことなんてできないから。波瑠がくれたこのチャンス……無駄にはしない。


「ラン、もう終わりにしよう」


「……」

わずかに彼の瞳が揺れた。


「目を覚まして。もうどう足掻こうとわたしたちの郷は"ないんだよ"」


____ねえランは大きくなったら何になりたい?


____俺は偉い人になる


____えらい人?


____偉くなって金を貯めて、そしてこの村を豊かにしたい


____雨漏りする心配も、今日の飯に困ることもない。俺の理想の村にするんだ
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