青い星を君に捧げる【弐】
わたしたちの故郷は工業事業拡大の一環として、大企業に買収されそして潰された。今では地図にも残っていない村になったのである。


「あなたの建てたこのセントラルタワーのおかげで近隣は豊かになった」


この地も以前は廃れた町であった。そこにランはセントラルタワーを建設したのだ。そのおかげで遠のいていた客足が戻ってきた。


「____もういいよ」


わたしはランの方へとゆっくりと歩き出した。向けられた銃口は無視してひたすらに青白い顔のランだけを見ていた。


「それ以上近づくな!!!!」


ランのすぐ隣にいた男が引き金を引いた。


____パアンッ


反射的に閉じた目を開くと、引き金を引いた男が床に倒れている。


ランが咄嗟に男を倒してくれたようだった。おかげで私は無傷だ。男の頭を床に押さえつけ、下を向いて動かないランを前に両膝を床につけた。


「もういいんだよ、ラン。よく頑張ったね」


ランの座り込んだ下のコンクリートは小雨が降っているように、ぽつりぽつりと濃く色が変わっていた。


「……リンファ。俺、頑張ったんだ」


分かってるよ。ずっと見ていたもの。あなたがわたしを拒否していた間もずっと、遠くから見てた。
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