青い星を君に捧げる【弐】
22時、廃ビル。私は慎たちに連れられて同盟・傘下の集会が行われる廃ビルに来ていた。

最上階にはもう他の族が到着していて私たちが最後だという。


「波瑠、絶対に僕らから離れないで」

「そうそう。特に傘下は気が抜けんからなぁ」


青の特攻服に身を包んだ彼らは私を庇うように挟んで歩いてくれる。私が本当に心配なのは貴方たちだって言うのに。


______ガチャ

扉が開けばそこには男たちが談笑していた。しかし慎が来たこと気づくとすぐに口を止め頭を下げた。


慎はそのまま奥の椅子に腰掛ける。男たちも頭を上げてそれぞれの場所に座った。その時に幹部たちに囲まれている私を見て、各々違う表情を見せる。


「……本題に入る前に気になってるであろう彼女を紹介する。青龍の姫、青姫(セイキ)だ」


ここで私の印象が決まる。私がなるべき青龍の姫の姿を演じる。それが今の私にすべきこと。


一歩座っているイカつい男たちに近づく。背筋を伸ばして堂々と。私はただの守られるだけの姫じゃないってことをわからせる!


「初めまして、青姫です。」


「ほう」「こりゃいい女が入ったな」など口々に彼らの興味を引く。幼い時から習った細やかな所作を発揮する。


「……こっちへ」

慎が手招きするのでゆっくりと歩き出す。その時にはもうイカつい男たちはそれぞれ話を再開させていた。


「こいつらは青龍の同盟、黒龍(ブラックドラゴン)の総長とレディースの同盟の青蝶(セイチョウ)総長。ここにいる奴らでこの二人だけは信頼していい」


「こんばんは。黒龍の総長、鳴海(ナルミ)です」


「青蝶総長の林真希(ハヤシ マキ)!あんたさっきのやつめっちゃよかったよ!!」


「ちょっ!!真希さん!?」


真希さんは私に飛びつくとギュウギュウと抱きしめる。


「かっわいいなぁ!あんたウチに来なよ、鍛えれば喧嘩も強そうだし!」


鳴海さんが憐れむような目で見ている。真希さんの力が強くて苦しんでいると、急に体が後ろに引かれた。


「真希…そこまでにしとけ」

「……ふ〜ん。まっ、女同士の積もる話は集会の後にでもしようね!」


私を助けてくれたのは慎だった。真希さんは私に小さく手を振ると鳴海さんと話ながら席についた。


「あの二人以外に何を言われても信用するな」


「うん。心配しないで」


私も剣斗くんに教えられた席に座った。最後に慎が座ったことにより会議は始まった。
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