青い星を君に捧げる【弐】
俺と同じ青色の瞳が俺を貫く。本当にこの人は心の強い人だ。誰より。


「あの家で生き残るのです。██家で必ず!!!」


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どれほど意識を飛ばしていたのだろう。幼い頃の母との思い出を今夢として見るなんて。


なにか大きく硬いものが崩れる轟音と爆発する音。皮膚を焼くように熱い風が全身を包んでいる。


あの男に訳の分からない薬を射たれたはずだが……。指がピクリと動く。


……俺は、生きてるのか?


何とか首を横にして状況を確認する。俺に薬を刺した男が倒れていた。奴は脚から血を流しているものの、息はあるようだ。


そして男の延長線上に見覚えのある赤髪の後ろ姿が見えた。あれは、たしか。


「目を覚ましたようだな」


波瑠の幼なじみとして青龍倉庫を訪れていた男、匡と言ったか。


痛む体を無理矢理動かし、上体を起こした。匡が見つめる先には俺が連れていかれたセントラルタワーが爆発し、崩れゆく姿があった。


「お前には既に解毒剤を投与してある。良かったな、うちの姫様が間に合って」


「うちの、姫?」


俺へと振り返った匡の顔には傷や血がこべりついている。コイツもセントラルタワーでの戦いに参加していたのか、と直感的に感じた。
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