青い星を君に捧げる【弐】
《side.本郷波瑠》
「波瑠!!」


私の本当の名前、“リリィ”と呼ばれたような気がして夜空を仰いでいると、横からの衝撃と共に今の私の名前を呼ばれた。


抱きついてきたのはリンファで、後ろには慎たちもいる。


「心配したんだよ!?タワーが爆発してるのに波瑠たちの姿が見えなくて!!」


泣きじゃくりながら言うリンファの肩を、誰かの手が押さえた。


「謝って済む問題ではないですが、すみませんでした。あなたも、本郷の人もそして桃も危険な目に合わせてしまった」


ランは深く頭を下げる。それをいなすように、私は彼に頭を上げるよう肩を上へと押した。


「桃……湊やみんなを傷つけられるのは確かに許せないけど、いいんじゃない?一度くらい」


「え?」


「一度くらいしたいように動いてみてもいいと思うよ。それが夢のためなら尚更ね」


リンファから大まかに聞いたランの夢。彼はきっとそれを実現するのに方法を間違えちゃっただけだ。


「全部正解の道を進めるほど人生って甘くない。間違えた時に止めてくれる人を作る。ラン、あなたにはそうやってこれから生きてほしいな」


それは簡単なことじゃないかもしれないけれど。でもランにはもうすでに1人いるんだから。
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