青い星を君に捧げる【弐】
慎の落ち着いていて、それでいて安心感のある声が私を優しく包んだ。


頭を上げて皆を見渡せば、全員が穏やかな表情をしていて内心ほっとした。横にいる匡を見るとゆっくりと頷く。


いつになく心臓の音が身体中に伝わっている。どくんどくん、と早鐘を打つ。


それでも受け入れて貰えなかったらどうしようとかっていう不安はなかった。絶対的信頼が彼らにはもう十分あったのだ。


おもむろに頭へと腕をのばし、そして茶髪のウィッグを一気に外した。


視界にはパラパラとブロンドの髪が舞っている。その奥には皆が目を丸くしているのが見えて、可笑しくなった。


私、皆と初めて会った時ここまで自分のことを曝け出す日が訪れるとは思ってなかった。驚きと新しい価値観の連続で。これだから人と関わるって楽しい。


「私の本当の名前はリリィ。本郷家本家の娘で、かつては百合の姫と呼ばれていたよ」


『本郷家……姫……?はあ!?どーいうこと!!!』


杏里が画面越しに理解が追いつかないと騒ぎ出し、剣人に後頭部をぶっ叩かれる。彼方にいたってはセントラルタワーで少しは聞いたはずなのに、開いた口が塞がってない。


十色の反応を見せる彼らを誰か止めてやってくれ……。
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