青い星を君に捧げる【弐】
『せやけど、よう本名隠して学校通えとったな』


剣人の疑問は最もである。でも、そこは金とコネを使った。


「前までの学校は本郷家がお金で隠蔽していてさ。今回は聡太郎がどうにかしてくれた、ね?」


「そう!元々うちの学校は訳ありの子を引き入れることが多くてね。名前変えちゃうくらいおちゃのこさいさい」


不良校ともあって翔陽高校はかなり融通がきくのだ。


「波瑠が本郷家の人なら聞いたいことがあるんじゃない、慎?」


彼方が隣に座っている慎の顔を伺いながら言った。


普段から話すのがマイペースな彼だが、今日はやけに熟考しているようでなかなか口を開こうとしない。


やっと視線が合ったので何でも聞いていいんだよ、と微笑んでみせた。私の仕草を目にしたことで決心が付いたようだ。


「本郷家は大々的に白虎の後援していると聞く。……お前は白虎と関わりはあるのか?」


彼にとってその問いは私が想像する以上に重いものなのだろう。


慎はずっと白虎の総長である月桂樹、つまりあたしを探しているのだから。ツキ(月桂樹の通称)に会いたくて居所を聞くために白虎の溜まり場まで訪ねたほどだ。


「白虎と関わりがない、と言えればきっとお互い楽だったんだろうね。本郷にいる以上白虎とは親交がある。慎や皆が知りたがっていたのに嘘ついてごめん」
< 98 / 154 >

この作品をシェア

pagetop