室長はなにをする人ぞ
異動初日。
ドアの横に【調査室】と印刷されたプレートがかかる部屋の前に立つ。
今まで足を踏み入れたことはなかった。
緊張気味でドアをノックして、失礼します、と声を出しながら部屋に入る。
まず視界に飛びこんできたのは、書架だった。
通常ならデスクが並べられているだろう部屋の真ん中に、背の高い書架がそびえているのだ。
図書館を思わせる光景だった。
左右に視線を走らせる。
向かって左側の壁にも書棚が並んでいる。
そして右手の奥、書架の陰から一人の男性が現れた。
「早川さん?」
高すぎも低すぎもしない、ソフトな声質だった。
「はい早川です。よろしくお願いします」
口上とともにペコリと頭を下げる。
「五嶋です」
彼が短く口にする。
第一印象は、年齢がよく分からないな、だった。たしか36歳になると聞いていたけど。
そうして五嶋さんが、なんとなく想像していたよりもずっと端正な容貌をしていることに、なぜか安堵をおぼえている。
ダメダメ、相手は上司だというのに、なにを考えているんだか。
ドアの横に【調査室】と印刷されたプレートがかかる部屋の前に立つ。
今まで足を踏み入れたことはなかった。
緊張気味でドアをノックして、失礼します、と声を出しながら部屋に入る。
まず視界に飛びこんできたのは、書架だった。
通常ならデスクが並べられているだろう部屋の真ん中に、背の高い書架がそびえているのだ。
図書館を思わせる光景だった。
左右に視線を走らせる。
向かって左側の壁にも書棚が並んでいる。
そして右手の奥、書架の陰から一人の男性が現れた。
「早川さん?」
高すぎも低すぎもしない、ソフトな声質だった。
「はい早川です。よろしくお願いします」
口上とともにペコリと頭を下げる。
「五嶋です」
彼が短く口にする。
第一印象は、年齢がよく分からないな、だった。たしか36歳になると聞いていたけど。
そうして五嶋さんが、なんとなく想像していたよりもずっと端正な容貌をしていることに、なぜか安堵をおぼえている。
ダメダメ、相手は上司だというのに、なにを考えているんだか。