室長はなにをする人ぞ
温かく確かな彼の手のひらの感触を、離したくないと思っている。
「営業の浅野課長が、お礼に美味しい豆大福を差し入れてくれるっていうから、今日はそいつで休憩といこうか」
「わあ、いいですね。総務から日本茶もらってきます」
喫茶スペースで、五嶋さんと二人、豆大福をほおばる。
それだけで密かにデート気分になってしまうのだから、わたしってつくづく恋愛の経験値が低いんだな。
やっぱり大福にはお茶が合いますね、なんて他愛もない会話を五嶋さんと楽しんでいたら。
———あれ、美緒っち?
かけられた声に、苦々しい思いでそちらに顔を上げる。
営業の神谷さんだ。年齢はわたしの一つ二つ上だろうか。
馴れ馴れしい態度が、以前から苦手だった。
「久しぶりじゃん。どうそっち、元気でやってる?」
え、まあ…と、ぎこちなく返す。
「甘いもん好きなの? やっぱ女の子だな」
甘いものが好きというか、誰と食べるかが大事なんだけどな。
「今度俺が大福おごってやるよ」
「え、そんな気を使わなくていいですから」
迷惑と言えずに、態度にも出せずに、愛想笑いで受け答えしている自分に嫌気がさす。
「営業の浅野課長が、お礼に美味しい豆大福を差し入れてくれるっていうから、今日はそいつで休憩といこうか」
「わあ、いいですね。総務から日本茶もらってきます」
喫茶スペースで、五嶋さんと二人、豆大福をほおばる。
それだけで密かにデート気分になってしまうのだから、わたしってつくづく恋愛の経験値が低いんだな。
やっぱり大福にはお茶が合いますね、なんて他愛もない会話を五嶋さんと楽しんでいたら。
———あれ、美緒っち?
かけられた声に、苦々しい思いでそちらに顔を上げる。
営業の神谷さんだ。年齢はわたしの一つ二つ上だろうか。
馴れ馴れしい態度が、以前から苦手だった。
「久しぶりじゃん。どうそっち、元気でやってる?」
え、まあ…と、ぎこちなく返す。
「甘いもん好きなの? やっぱ女の子だな」
甘いものが好きというか、誰と食べるかが大事なんだけどな。
「今度俺が大福おごってやるよ」
「え、そんな気を使わなくていいですから」
迷惑と言えずに、態度にも出せずに、愛想笑いで受け答えしている自分に嫌気がさす。