室長はなにをする人ぞ
「…わたしはそんな都合のいい女性じゃないです」
ようやくその言葉だけ絞り出した。

知ってるよ、と五嶋さんは静かにうなずく。
「傷つけてしまったなら申し訳ないけど———早川さんに望まない手合いの男性が寄ってくるのは、容姿が生む印象が大きな理由だろう。
だからといって、すべての男性という生き物を軽蔑しないでほしい」

しません、という返事は五嶋さんに向けてのものだ。
ショックは受けたものの、彼の言葉は腑に落ちた。
生まれ持ったものは変えようがないけど、理由が分かったおかげで少し気持ちが楽になった。

ここまでさらけ出したから、そして五嶋さんが真っ直ぐそれに応えてくれたから。
図々しいついでに、もう一つ彼に投げかけてしまった。

「…五嶋さんも、その、女性から望まないアプローチをされて困ったりしたことあったんですか?」

「う、ん…」
さすがに彼も言い淀む。

気まずくさせてしまったと後悔しながら、質問を取り消そうと口を開きかけると。
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