室長はなにをする人ぞ
第三章/wild goose chase
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こんなこと五嶋さんに訊いていいのかわからないんですけど、と営業の夏目さんが当惑した表情で切り出す。
ある日のこと。
相談したいことがあると電話で打診があり、五嶋さんが快諾すると、その足で調査室にやってきたのだ。
予備のデスクチェアを五嶋さんのデスクの近くに寄せて、そこにかけてもらった。
「営業部でも調べてみたんですけど、見当もつかなくて…」
と首をひねる夏目さんを、五嶋さんが促す。
「かまわない、それを調べるのが調査室の仕事だ」
彼の鷹揚な態度に力づけられたのか、夏目さんは今抱えている案件について話し出した。
それは一風変わった話だった。
夏目さんは今、個人宅の外装の修繕工事を担当しているという。
現場調査と打ち合わせをし、見積もりをしている段階だという。
それであれば、ごく普通の案件だ。
目地のシーリングの打ち替えと、外壁塗装の塗り替えを提案しており、施主も合意している。
だが、外壁塗装の色を決める際に、一つの問題が浮上したのだ。
施主が配色を決めかねているという。
こんなこと五嶋さんに訊いていいのかわからないんですけど、と営業の夏目さんが当惑した表情で切り出す。
ある日のこと。
相談したいことがあると電話で打診があり、五嶋さんが快諾すると、その足で調査室にやってきたのだ。
予備のデスクチェアを五嶋さんのデスクの近くに寄せて、そこにかけてもらった。
「営業部でも調べてみたんですけど、見当もつかなくて…」
と首をひねる夏目さんを、五嶋さんが促す。
「かまわない、それを調べるのが調査室の仕事だ」
彼の鷹揚な態度に力づけられたのか、夏目さんは今抱えている案件について話し出した。
それは一風変わった話だった。
夏目さんは今、個人宅の外装の修繕工事を担当しているという。
現場調査と打ち合わせをし、見積もりをしている段階だという。
それであれば、ごく普通の案件だ。
目地のシーリングの打ち替えと、外壁塗装の塗り替えを提案しており、施主も合意している。
だが、外壁塗装の色を決める際に、一つの問題が浮上したのだ。
施主が配色を決めかねているという。