室長はなにをする人ぞ
既存の外壁と同じ色で塗り直すか、それとも違う色を採用するか、なのだが。
「お施主さんがそうやって外壁の色で迷うのは、まああることだろう?
カラーシミュレーション画像を作ったり、塗り板サンプルを見せたりして、納得いくまで選んでもらえばいいんじゃないか」
五嶋さんが口を挟む。
それがですね、と夏目さんが声を落として続ける。
今回、修繕工事の依頼をしてきた泉さんは、七十歳くらいのご婦人で、一人暮らしです。
何年か前にご主人を亡くされて、息子さんは結婚して独立しています。
自宅は二十年以上前に亡きご主人が建てた注文住宅なんです。
家にそこまでこだわる方ではなかったそうなんですが、印刷会社にお勤めだったので、色には詳しかったようで。
外壁の配色だけは、ご自分で指定されたそうなんです。
それでベージュの外壁に赤い窓枠、というちょっと珍しい外観になりまして。
その際ご主人は奥様に「この窓枠の色はお前にちなんだ。お前の色だ」と言ったそうなんです。
「奥様は…なにか赤い色が好きとか、赤に関係する名前とか?」
五嶋さんが上体を前のめりにしている。興味をそそられているみたいだ。
「お施主さんがそうやって外壁の色で迷うのは、まああることだろう?
カラーシミュレーション画像を作ったり、塗り板サンプルを見せたりして、納得いくまで選んでもらえばいいんじゃないか」
五嶋さんが口を挟む。
それがですね、と夏目さんが声を落として続ける。
今回、修繕工事の依頼をしてきた泉さんは、七十歳くらいのご婦人で、一人暮らしです。
何年か前にご主人を亡くされて、息子さんは結婚して独立しています。
自宅は二十年以上前に亡きご主人が建てた注文住宅なんです。
家にそこまでこだわる方ではなかったそうなんですが、印刷会社にお勤めだったので、色には詳しかったようで。
外壁の配色だけは、ご自分で指定されたそうなんです。
それでベージュの外壁に赤い窓枠、というちょっと珍しい外観になりまして。
その際ご主人は奥様に「この窓枠の色はお前にちなんだ。お前の色だ」と言ったそうなんです。
「奥様は…なにか赤い色が好きとか、赤に関係する名前とか?」
五嶋さんが上体を前のめりにしている。興味をそそられているみたいだ。