室長はなにをする人ぞ
会社が入っている複合テナントビルの隣の棟の一階に、しゃれたシアトルスタイルのカフェがある。
帰りに二人でそこに立ち寄った。
イメージから、ブラックコーヒーを好みそうな五嶋さんが、フレーバー入りのラテをチョイスしたのが、少し意外だった。
「甘いものお好きなんですか」
席について訊いてみる。
「考えごとをしていると、糖分が欲しくなるんだ」
と五嶋さんがラテをすする。
「脳は大食漢だからな。脳を働かせるのに必要なのは糖分だ。将棋の棋士が対局中に間食するのもよく分かる」
彼の仕事はまさしく頭脳労働なんだな…って、わたしもいちおう頭を使っているはずなのに。
比べるレベルが違うってことか。
「じゃあカフェとか時々来られるんですか?」
自分なりに踏みこんでみる。
「うん、煮詰まったときとか、疲れて甘いものが欲しくなったときとか、気分転換も兼ねて」
こうしてわたしに一杯ご馳走してくれて、この後彼はまた会社に、あの調査室に戻るんだろう。
そして思考の迷宮の探索を続けるのだ。
わがままなわたしは、彼とおしゃべりをしてお茶を飲んでいるこの時間が、一秒でも長く続いてほしいと願ってしまう。
帰りに二人でそこに立ち寄った。
イメージから、ブラックコーヒーを好みそうな五嶋さんが、フレーバー入りのラテをチョイスしたのが、少し意外だった。
「甘いものお好きなんですか」
席について訊いてみる。
「考えごとをしていると、糖分が欲しくなるんだ」
と五嶋さんがラテをすする。
「脳は大食漢だからな。脳を働かせるのに必要なのは糖分だ。将棋の棋士が対局中に間食するのもよく分かる」
彼の仕事はまさしく頭脳労働なんだな…って、わたしもいちおう頭を使っているはずなのに。
比べるレベルが違うってことか。
「じゃあカフェとか時々来られるんですか?」
自分なりに踏みこんでみる。
「うん、煮詰まったときとか、疲れて甘いものが欲しくなったときとか、気分転換も兼ねて」
こうしてわたしに一杯ご馳走してくれて、この後彼はまた会社に、あの調査室に戻るんだろう。
そして思考の迷宮の探索を続けるのだ。
わがままなわたしは、彼とおしゃべりをしてお茶を飲んでいるこの時間が、一秒でも長く続いてほしいと願ってしまう。