青色交差点
俺は気づいたらレースのカーテン越しに日下部さんを抱きしめていた。誓い通り彼女には指一本触れていない。俺が触れているのはカーテンであり、その中の空間に彼女がいるだけのことだ。

しかし困ったことに布越しに華奢で柔らかい体の感触が伝わってくるのでもっと触れたくなってしまう。日下部さんの果実のようにつややかな頬に流れ始めた涙をぬぐってしまいそうになり触れる寸前で指を引っ込める。

「もしOKしてもらっても今日は指一本触れないって決めたんだ。」

その言葉に対し彼女は『ゆ』と一文字言ってから口をつぐんでしまった。

「ゆ?」

「何でもない!」

「何?言って?」

向こうが身動きとれないことをいいことに顔を近づけて攻める。まつ毛が触れてしまいそうだ。

「ゆ、指じゃなければいいの?」

彼女のその言葉は俺の理性を吹き飛ばした。
< 127 / 135 >

この作品をシェア

pagetop