島津くんしっかりしてください
「……よかったね。オッケー貰えたよ」



「……え」






そう言ってスマホを渡すと、ポカンとした顔のまま私の目をじっと見る。









そして、数秒見つめ合った後。






「……嘘?」



「ほんと」




「え……いやいやいやいや、ないないない」






そんな、まさか。






繰り返す島津くんに、スマホのトーク画面を眼下に突き出した。






「ほ……本当に……? 本当に鞠姉が……あ、そっかこれは夢か……」



「夢じゃないよ」






いい加減信じろとその頬を両手でぎゅっと引っ張る。








「さ、真見さん……?」



「夢じゃないよ」






そう目を合わせて念を押すと、島津くんはぼっと赤くなり、あわあわと視線をそらした。






「そ、っか……夢じゃ、ないのか」






その頬は赤く染まっていて、強く引っ張りすぎたかとそれをさすった。






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