島津くんしっかりしてください
「あーそうそう。誠ちゃんも演じなくていいよ~?」



「……は」






思わず低い声が漏れる。






「なん……で」



「え?」



「なんで……知ってるんですか?」








低くかすれる声で鹿島先輩を問い詰める。





もしかして……島津くんが?






その可能性が脳をちらついた途端、体がカッと熱を持った。






確かにあの時、私は島津くんに秘密にするようには言わなかった。






でも、それは、島津くんに対する一種の信頼のようなもので。






そこまで考えて、はっと目を見開いた。








……あぁ。そうか。




私はいつの間にか島津くんを信頼していたんだ。







だから、裏切られたかのように感じて……だから、こんなにも気分がすぐれないのか。







「あー違う違う。陽平に聞いたわけじゃないよ?」



「……え?」






心を読んだかのような言葉に一瞬で意識が現実へと引き戻された。







「じゃあ……どうしてですか?」



「んー?……だって、真見ちゃん俺と同じタイプでしょ。わかるよ」






スッと細められた瞳。



その奥に陰りが見えて、目を大きく見開いた。






そして、それから、唇の端に笑みをのせる。






「……私達、仲良くなれそうですね」



「でしょー? 運命ってやつ?」



「それは違うと思いますが」



「ありゃ」






……あぁ、なんですぐに気が付かなかったんだろう。





すごく楽だ。






こんなにも自分と性質が似ている人と、初めて会った。






呼吸があうっていうのかな。






すごく楽に息を吸える。






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